一般内科医も知っておきたい身体障害者手帳の内部機能障害について
医学の知識も大事ですが、医療の知識が患者を救うこともあります。
身体障害者手帳について勉強したら、一般内科医も知っておいた方が良いと思う事項があったので共有します。
身体障害者手帳は症状が固定化した身体障害を有する患者が申請し取得できるもので、医療福祉や税制上など様々な優遇を得ることができます。また障害のため一般就労が難しい方は障害者枠での雇用についても相談することができます。
※障害雇用促進法で、一定人数の従業員を抱える企業は一定割合人数の障害者雇用義務があり、達しない場合は納付金が課せられます。
身体障碍者手帳は、指定医の診断書などを添えて各自治体の障害福祉窓口で申請することができ、主に下記の5つに大別されます。
・視覚障害
・聴覚または平衡機能の障害
・音声機能、言語機能又は咀嚼機能の障害
・肢体不自由
・内部機能障害(心臓、腎臓、呼吸器、膀胱直腸、小腸、HIV、肝臓)
【https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c212/】
【https://plus.spool.co.jp/article/certificate.html】
そのうち、上4つはイメージしやすいですが、内部機能障害でも身体障碍者手帳が取得でいます。
各々の認定基準は下記URLを参照いただければと思いますが、心房細動などの心電図異常があり屋外活動で心不全や狭心症症状が出る場合は”心臓”、クレアチニンクリアランスが30未満で腎性貧血や電解質異常などがあれば”腎臓"、PaO2が70mmHg以下なら"呼吸器"の認定基準を満たしたりします。
【https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html】
これを知って、過去に内科外来で定期診察していた患者で障害者手帳の取得要件を満たす患者が何人も思い浮かびました。中には金銭的な厳しさや受診の大変さを訴えていた方もいたので、その時に手帳があれば金銭補助や公共交通機関の補助、タクシー券などを利用できる可能性があります、とお伝えできたのに・・・と当時の知識不足を悔いました。
社会福祉士(ソーシャルワーカー)や自治体の障害者福祉担当の方は当然この制度についても詳しいですが、それを知らない患者がまず症状を訴え医療機関に受診することは容易に想像できます。そこで直接応対する医師や看護師が、身体障碍者手帳の適応や有用性に気付かないと、利用できる制度を知らないまま医学的治療だけが進んでしまいます。
『もしかしたら、身体障碍者手帳の申請をすることで様々な補助が受けられるかもしれません。良かったら相談窓口を紹介しましょうか』
と声をかけられるようになれば良いなと思います。