医療の車窓から ~旅のしおり~

医療の世界を旅する中で、筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

胃管と胃瘻

・胃管は胃・食道潰瘍形成や鼻血などのリスクが高いため、30日未満の使用が望ましい。

・高度認知症患者の嚥下障害に対する胃瘻栄養は余命の延長効果がないため推奨されず、少量でも慎重な食事介助による経口摂取の継続のほうが望まれる。

脳梗塞後の嚥下障害に対しての胃瘻栄養は、経鼻栄養と比較して治療を継続できる率が高く、アルブミン値が保たれるため、胃瘻導入し嚥下機能が向上しうる3ヵ月間はリハビリに努め経口摂取に切り替えることを目指す。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2017/PA03222_04

利尿薬か補液か

低Alb血症により血管内脱水を来しており、腎機能が悪化している症例をみました。

補液をしても水分は血管内にとどまれず、胸腔、腹腔、皮下に溜まっている状況でした。

この場合に、補液をするという意見と利尿薬を使うという意見に分かれそうなので、それについて考察してみます。

 

利尿薬は貯留した体内の水分を減らすという意味では有効ですが、血管内の水分は更に減るので血管内脱水は増悪することになります。

血管内脱水に陥った場合、腎血流も低下し、尿量が減ると同時に腎虚血になります。

それが長引くと尿細管が壊死してしまい不可逆的な腎障害(急性尿細管壊死)になってしまいます。

尿量が少ないときに利尿薬を使うというのはしばしば目にしますが、主に尿細管のチャネルに働きかけて尿量自体は増やしてくれますが、元々の腎血流を増やす作用はないため、機序的には尿細管壊死を防ぐ効果は乏しいようにに思います。

補液をした場合、当然血管外にも漏れますが一部血管内にもとどまります。

このような状況の場合、まずは腎血流量を確保するとともに低Alb血症の原因解除し、水分が血管内に留まれる環境を確保してから利尿薬で水分を抜くのが好ましいように思います。

 

 

血管内脱水をお制する

 

 

貯留しており

 

顆粒円柱が出ており急性尿細管壊死が示唆される状況

肩周りの筋肉について

■正常関節可動域

・屈曲:180度

・伸展:50度

・外転:180度

・内転:0度

・内旋:80度

・外旋:60度

 

■筋肉

・屈曲:三角筋前部

・伸展:三角筋後部+大円筋+小円筋

・外転:三角筋中部+棘上筋

・内転:大胸筋+広背筋+菱形筋

・内旋:三角筋前部+広背筋+肩甲下筋

・外旋:三角筋後部+棘下筋+小円筋

 

https://www.mcdavid.co.jp/sportmed_anatomy/shoulder/

 

三角筋腋窩神経ーC5

・肩甲下筋:肩甲下神経ーC5

・小菱形筋:肩甲背神経ーC5

・大菱形筋:肩甲背神経ーC5

・棘上筋:肩甲上神経ーC5

・棘下筋:肩甲上神経ーC5

・小円筋:腋窩神経ーC5

・大円筋:肩甲下神経ーC6

・前鋸筋:長胸神経ーC6

・広背筋:胸背神経ーC7

・大胸筋:内側/外側胸筋神経ーC7

 

 

上肢の筋肉と脊髄レベル

肩周りの筋肉:C5

上腕二頭筋:C5

母指側の前腕筋:C6

上腕三頭筋:C7

広背筋:C7

小指側の前腕筋:C8

手内筋:C8+Th1

 

だいたいこんな感じかもしれません。

解剖大事です。

下肢筋と髄節レベルと神経支配

L2:腸腰筋:腰神経叢     大腿内転筋:閉鎖神経
L3:大腿四頭筋:大腿神経 
L4:前脛骨筋:深腓骨神経
L5:長母趾伸筋:深腓骨神経  中殿筋:上殿神経
S1:長母趾屈筋:脛骨神経
S1:下腿三頭筋:脛骨神経
S2:ハムストリング:坐骨神経(総腓骨神経+脛骨神経)
 
 
・髄節レベルは、下肢近位伸側→下肢遠位伸側→下肢遠位屈側→下肢近位屈側となっているので覚えやすい。
・支配神経は下肢近位の方が太く遠位の方が細い。また下肢遠位では伸側に腓骨神経が通り屈側に脛骨神経が通る。
・髄節の障害か神経障害かは同じ髄節レベルの筋の障害の有無をみれば良い。
・いつも覚えられなかったけど、これなら覚えられるかも?
 

Surfer’s myelopathyについて

先日はじめてサーフィンをしましたが、サーフィンでは稀に外傷の病歴なく脊髄症になることがあります。Surfer’s myelopathy(以下、SM)と呼びますが、その機序について調べてみました。

 

正確な病因は解明されていませんが、基本的には体幹過伸展の持続もしくは反復によって起こる説が一般的のようです。

体幹過伸展が悪化因子とのことで、脊柱管狭窄症による脊髄症のようなイメージを持ちましたが、基本的にSMは若年の初心者サーファーに多い疾患のようで、しかも急性発症するようです。

背景として、体幹過伸展によるAdamkiewwicz動脈潅流障害が示唆されており、高齢者は脊椎の柔軟性が乏しいため過伸展状態になりにくい可能性などが考察されています。

 

サーフィンは腹臥位でボードにいることが多く、立ち上がるときや波をいなすときなど、過伸展状態になることが多いと思います。

 

サーフィン以外でも同様の肢位をとるものではSMになることがあり、手術による腹臥位、チアリーディング、スイミング、体操競技などで発症した報告があるようです。

 

SMを予防する語呂で"SPINE"といものがあるので、サーフィンをやるときは復習しておきたいですね。

 

S:Sit:波を待つときは腹臥位ではなく座位で待つ

P:Pace:海に長時間いない

I:Insist:熟練のインストラクターに指導を仰ぐ

N:Notice:腰の違和感や痛み、下肢の脱力に注意

E:Exit:そしたらすぐに海を出て病院に向かう

 

https://slide.antaa.jp/article/view/b8c497fbb8124c65#1

http://igakukotohajime.com/2020/01/01/%E8%84%8A%E9%AB%84%E6%A2%97%E5%A1%9E-spinal-cord-infarction/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7919899/

大腿骨の骨折の種類

大腿骨の骨折には骨折線の部位により、①骨頭部骨折、②頸部骨折、③転子部骨折、④転子下骨折、⑤骨幹部骨折に分かれます。

大腿骨頸部より近位は股関節の関節包に入ります。そして関節包内は骨膜がないため、大腿骨頭を栄養する血流は骨内を通ってきたものしかありません。そこで骨折が起こり骨内の血管がちぎれてしまうと、骨頭に血流が行かず容易に壊死を起こしてしまいます。

なので、よほど骨折による転位がない場合を除き、①、②は基本的に整復固定術は適応にならず人工骨頭置換術が選択されます。

 

関節包外の骨折になる③、④、⑤は整復固定術が選択でき、主に髄内釘固定術(ガンマネイル)とCHS(Compression Hip Skrew)法の2つがあります。

ガンマネイルの方が最小限の筋剥離のみで髄内釘を打ち込むことになるので短時間でできますが、転位がある場合の整復は不得手です。逆にCHSは大腿骨外側の筋を剥離しプレートを取り付ける必要があるため、時間がかかり出血量も多くなりますが、その分転位がある場合の整復も容易にできます。

 

http://www.inet-shibata.or.jp/~zaitaku/hc02.html

https://med.antaa.jp/hip_fracture_review

 

このような手術を整形外科医は、髄内釘固定術なら25分ほど、CHSでも30分ほどでやってしまうようなので、凄いですよね。