きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

高次脳機能障害患者の復職に際し、主治医はどう産業医と連携をとるべきか

復職の基本的な流れは下記になっています。1) 本人の復帰の意思→主治医の許可→産業医の許可→事業者の最終判断 産業医の許可に際し、産業医は患者の許可を得たうえで必要に応じ、主治医に"勤務情報提供書"を送付し職場復帰の際の意見を求めることがあります。…

脊髄損傷患者の便秘症ではどの薬を選択すればよいか

ドイツのガイドラインを参考にしました。1) 日本の"脊髄損傷の排便マニュアル"2)や英国のガイドライン3)は薬の記載はあっても選択優先度の記載はなく、オーストラリアのガイドライン4)は薬の記載が乏しく代わりに非薬物治療のフローチャートの記載が充実して…

睡眠時無呼吸症候群でCPAPを使用する際にどのタイプのマスクを選択すべきか

" data-en-clipboard="true">簡易型睡眠時無呼吸検査で、受け持ち患者の重症睡眠時無呼吸症候群が発覚しました。今まで呼吸器内科がCPAP導入してくれる環境が多かったので甘えていましたが、自分でできないとマズいと思って改めて調べてみました。 " data-en…

心房細動のリハビリテーション安静度はどう設定すべきか

" data-en-clipboard="true">RACEⅡトライアルにおいて、持続性心房細動で寛容なコントロール群(安静時HR<110)は、厳密なコントロール群(安静時HR<80かつ6分間歩行などの中等度運動時HR<110)と比較し、主要転機(心血管死、心不全入院、脳卒中、全身塞栓…

運動負荷を伴う訓練を実施するための基準(リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン第2版)

訓練中止を考慮する具体的条件(数値編) ・収縮期血圧180-200mmHgを超える場合、または収縮期血圧70-90mmHg未満の場合 ・脈拍40未満、または120-150/分を超える場合 ・呼吸数5-8回/分未満、呼吸数30-40回/分を超える場合 ・SpO2:88-90%未満 ※バイタルサイ…

運動負荷を伴う訓練を実施するための基準(リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン第2版)

訓練中止を考慮する具体的条件(数値編) ・収縮期血圧180-200mmHgを超える場合、または収縮期血圧70-90mmHg未満の場合 ・脈拍40未満、または120-150/分を超える場合 ・呼吸数5-8回/分未満、呼吸数30-40回/分を超える場合 ・SpO2:88-90%未満 ※バイタルサイ…

積極的な運動療法が禁忌となる疾患・病態 (心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン)

絶対的禁忌 ・不安定狭心症または閾値の低い(平地のゆっくり歩行[2MET]で誘発される)心筋虚血。 ・過去3日以内の心不全の自覚症状(呼吸困難、易疲労感など)の増悪。 ・血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈(心室細動、持続性心室頻拍) …

リハビリテーション科専門医の価値

リハビリテーションの指示(PT、OT、ST処方)はどの医師にもできる。はたしてリハビリテーション科専門医の価値はどこにあるのだろうか。 この答えは一部の業務独占できる診療科を除くすべての専門医の価値と同様、医療の質にある。 たとえば皮膚科医でなく…

毒性の高い肺炎桿菌(hypervirulent klebsiella pneumoniae)の特徴は何か

" data-en-clipboard="true">・基礎疾患がなくても感染。 ・アジア太平洋で一般的だが世界的に発生。 ・複数部位に感染したりする。 ・髄膜炎などの中枢神経感染、眼内炎、肝膿瘍、壊死性筋膜炎にをきたすことが多い。 ・病原性プラスミド上に存在するバイオ…

血行性骨髄炎の好発部位はどこか

小児は長管骨の骨幹端が多い。成長板閉鎖前の骨幹端は血流が豊富で、血流が遅いため、病原体が増殖するのに好条件。 " data-en-clipboard="true">【https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspr/34/1/34_23/_pdf/-char/ja】 " data-en-clipboard="true">成人…

バリウム検査で慢性便秘になったらどうするべきか

" data-en-clipboard="true">バリウムを飲み込むと、患者の 57% で 1 週間以内に結腸から除去され、ほとんどの患者で 4 週間以内に完全に除去される。 バロリス(Baroliths)とは、硫酸バリウム造影剤の経口または直腸投与後に形成される濃縮したバリウムと…

変形性膝関節症の運動の許容範囲

すべての変形性膝関節症の患者に、痛みの緩和と関節の保護のために継続的な運動は推奨される。 最適な運動様式・運動強度・期間・頻度に関する強力なエビデンスはない。 ランニングやジャンプなどの関節への大きな影響を伴う運動は、特により進行した 変形性…

てんかん発作時の治療

" data-en-clipboard="true">ほとんどの発作は2分以内に自然に収まり、ベンゾジアゼピン系や抗てんかん薬を迅速に投与する必要はない。ただ長期化したり再発した場合に備え、静脈ライン確保は検討される。 5分以上持続する全般性けいれん、または1回あたりは…

てんかんの定義

次のいずれかが存在する場合、てんかんと定義される。(国際てんかん連盟=ILEA基準) ・24時間以上の感覚を開けて少なくとも2回の原因のない発作 ・1回の非誘発性発作があり、今後10年間で推定再発リスクが60%以上の場合(脳の基礎疾患がみつかった場合など…

胃管と胃瘻

・胃管は胃・食道潰瘍形成や鼻血などのリスクが高いため、30日未満の使用が望ましい。 ・高度認知症患者の嚥下障害に対する胃瘻栄養は余命の延長効果がないため推奨されず、少量でも慎重な食事介助による経口摂取の継続のほうが望まれる。 ・脳梗塞後の嚥下…

利尿薬か補液か

低Alb血症により血管内脱水を来しており、腎機能が悪化している症例をみました。 補液をしても水分は血管内にとどまれず、胸腔、腹腔、皮下に溜まっている状況でした。 この場合に、補液をするという意見と利尿薬を使うという意見に分かれそうなので、それに…

肩周りの筋肉について

■正常関節可動域 ・屈曲:180度 ・伸展:50度 ・外転:180度 ・内転:0度 ・内旋:80度 ・外旋:60度 ■筋肉 ・屈曲:三角筋前部 ・伸展:三角筋後部+大円筋+小円筋 ・外転:三角筋中部+棘上筋 ・内転:大胸筋+広背筋+菱形筋 ・内旋:三角筋前部+広背筋…

上肢の筋肉と脊髄レベル

肩周りの筋肉:C5 上腕二頭筋:C5 母指側の前腕筋:C6 上腕三頭筋:C7 広背筋:C7 小指側の前腕筋:C8 手内筋:C8+Th1 だいたいこんな感じかもしれません。 解剖大事です。

下肢筋と髄節レベルと神経支配

L2:腸腰筋:腰神経叢 大腿内転筋:閉鎖神経 L3:大腿四頭筋:大腿神経 L4:前脛骨筋:深腓骨神経 L5:長母趾伸筋:深腓骨神経 中殿筋:上殿神経 S1:長母趾屈筋:脛骨神経 S1:下腿三頭筋:脛骨神経 S2:ハムストリング:坐骨神経(総腓骨神経+脛骨神経) …

Surfer’s myelopathyについて

先日はじめてサーフィンをしましたが、サーフィンでは稀に外傷の病歴なく脊髄症になることがあります。Surfer’s myelopathy(以下、SM)と呼びますが、その機序について調べてみました。 正確な病因は解明されていませんが、基本的には体幹過伸展の持続もし…

大腿骨の骨折の種類

大腿骨の骨折には骨折線の部位により、①骨頭部骨折、②頸部骨折、③転子部骨折、④転子下骨折、⑤骨幹部骨折に分かれます。 大腿骨頸部より近位は股関節の関節包に入ります。そして関節包内は骨膜がないため、大腿骨頭を栄養する血流は骨内を通ってきたものしか…

栄養評価の指標、MNAについて

今月から勤務中のリハ病院では、入院患者に定期的にこれを評価しています。 この指標で何が分かるか、自分なりに調べてみました。 1990年代に開発されたMNA(Mini Neutritional Assessment)は65歳以上を対象とした栄養評価の指標であり、30点満点中何点をと…

カテーテルアブレーションの合併症

カテーテルアブレーション後に心膜炎を来した方をみたので、カテ―テルアブレーションの合併症について調べてみました。 主要な合併症は疾患によっても異なるようです。焼き切る部位によって合併症の起こりやすさが異なるのは了解可能です。 ・上室性頻脈への…

心室性期外収縮でのカテーテルアブレーションの適応

心室性期外収縮でカテーテルアブレーションを施行されている患者をみたので、どのような患者が適応になるか調べてみました。 ・動悸など心室性期外収縮の症状を来している時 ・ホルター心電図で脈の10%以上、もしくは10000回/日が心室性期外収縮がある時 ・…

回復期リハビリテーション病院と薬価の関係

療養型病棟や回復期リハビリテーション病棟では、薬剤費は原則として入院基本料に含まれます。 そのため薬価が高額になれば転院に難色を示されることがあります。 【https://multimedia.3m.com/mws/media/1923679O/med-613-a-medicalenvironmenttopics5.pdf…

骨折による血清CRP値の推移

骨折後のCRP高値は比較的よく見ますが、その自然経過について調べてみました。 手術をした方がしないよりCRP値はやや高値になるようですが、基本的に外傷または手術の2-3日後にCRPはピーク値をとり、以後漸減し3週間ではほぼ正常化するようです。 【https://…

回復期リハビリテーション病院の実績指数

回復期リハビリテーション病院は、設備や実績により得られる入院費が異なります。 すなわち、手厚い設備があり患者のADLをより向上させた実績がある病院は高い診療報酬を請求できることになっています。 基本入院料は一番高い"入院料1"が1日21290円(2129点…

骨折後の血清ALP値の推移

ALPはアルカリ環境下でリン酸化合物を加水分解する酵素で、肝臓、骨、小腸や胎盤に多く含まれています。骨ではALPは骨芽細胞膜に存在し、骨形成の際に血中に流出しますが、骨折の際の血清ALP値の推移について調べてみました。 大腿骨頸部骨折、転子部骨折で…

クモ膜下出血の神経障害

クモ膜下出血で高次機能障害を来している患者をみました。 該当患者はクモ膜下出血発症後、約1週間後に脳梗塞を来していましたが、MRI画像上の梗塞はわずかな部分のみで高次脳機能障害を説明しにくい領域でした。 そこで、クモ膜下出血で神経障害が起こる機…

養護老人ホームと救護所

"養護老人ホーム"に入所している方が入院してきました。 退院後はそちらに戻りたい希望があり、どのような施設か知らなかったので調べてみました。 基本的にはADLが自立している65歳以上の高齢者が、自宅生活困難になった場合に入所できる施設のようです。 …