きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

回復期リハビリテーション病院の実績指数

回復期リハビリテーション病院は、設備や実績により得られる入院費が異なります。

すなわち、手厚い設備があり患者のADLをより向上させた実績がある病院は高い診療報酬を請求できることになっています。

基本入院料は一番高い"入院料1"が1日21290円(2129点)であり、一番低い"入院料6"が1日16780円(1678点)であり、約5000円の開きがあります。

https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-2/2220

※令和2年の診療報酬改定での金額です。

 

当然、病院側はより高い入院料を算定できるように実績を上げようと試みます。

その実績を表すのが、”実績指数”です。

 

"実績指数"の計算式は、入退院前後のFIM値の変化度に、リハビリ算定上限日数と入院日数の比をかけたものになります。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000184198.pdf

※FIMは下記参照

https://rehaplan.jp/articles/338

 

例えば、高次脳機能障害を伴った脳梗塞で回復期リハビリテーション病院に入院して、90日でFIMが50→100点に上昇したとすると、上記疾患の算定上限日数は180日なので、実績指数は(100-50)x(180/90)=100となります。

より短期間で、FIM値を向上させられた場合に実績指数は高値になるわけです。

※各疾患の算定上限日数は下記参照

https://kaifukuki.doctorsfile.jp/number/02

 

 

"入院料1"をとるためには平均40以上の実績指数が必要になります。

 

ちなみに回復期リハビリテーション病院の判断で、入院患者の3割を上限に、入院時のFIMが低すぎる患者や高すぎる患者を実績指数の算定から除外することができます。

これはFIMが低すぎる患者や高すぎる患者は、入退院前後での変化度が少なくなる可能性があるからです。

 

"入院料1"を算定するためには重症患者(FIM55点未満)も3割以上必要になるなど、実績指数以外の要素も大事になってきます。

 

そのため回復期リハビリテーション病院では、入院判定会を開き、どの患者を引き受けるか考えます。

条件の良い患者だけを選んで引き受けていたら良いと思うかもしれませんが、近年場所によっては回復期リハビリテーション病院が乱立し競争が激化しており、ある程度見通しのつきづらい患者や改善の見込みが薄い患者であっても引き受けなければ、急性期病院との連携の上で今後患者を紹介してもらえなくなるリスクにつながります。そのため、慎重な舵取りが求められる場合もあります。