きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

骨折後の血清ALP値の推移

ALPはアルカリ環境下でリン酸化合物を加水分解する酵素で、肝臓、骨、小腸や胎盤に多く含まれています。骨ではALPは骨芽細胞膜に存在し、骨形成の際に血中に流出しますが、骨折の際の血清ALP値の推移について調べてみました。

 

大腿骨頸部骨折、転子部骨折で手術をした69人を対象にした研究では、術後3週間で血清ALP値はピークに達し、その後徐々に減少に転じたようです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16568384/

 

少し古い研究ですが、4週間以上入院すると思われた骨折患者45人(うち39人が大腿骨頸部骨折)を対象とした研究では、血清ALPは受傷後第4週にピークに達し、少しずつ低下していくようです。そして第8週にも正常範囲にはまだ届かないようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1603367/?page=1\

 

同じく少し古い研究ですが、骨折直後は血清ALPは正常であることが多く、7-9日後に上昇し、骨折後1ヶ月以内にピークに達するようです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/627581/

 

骨折でのALP値の推移は知らなかったので勉強になりました。