きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

胸部X線で肺の膨らみを評価する

時々胸部X線をみながら、この肺は膨らんでいないとか、含気不十分という会話を聞きます。何をもとに指導医がそう判断しているか、知識があやふやだったので調べてみました。

基本的に肋骨と横隔膜の交差する高さでおよそ見当がつくようです。

正常の場合、右横隔膜が第10肋骨の後ろ側と鎖骨中線辺りで交差し、それから上下半肋間程度 は正常範囲のようです。そして左の横隔膜は右の横隔膜と同じ高さから1肋間程度の下程度の高さが正常であると言われています。

 

この辺は長尾先生のブログがとても分かりやすくまとまっているので良かったらご参照ください。

http://tnagao.sblo.jp/article/186390835.html

 

ちなみに含気不良の方をみた時は色々なことが類推できます。

◇深吸気ができなくて含気不良な人

 ・指示が入らない人(小児、意識障害認知症など)

 ・深吸気が症状の増悪因子となる人(胸膜炎、Fitz - Hugh ‒ Curtis 症候群、横隔膜周囲膿瘍など)

 ・交感神経過活動状態(パニック発作過換気症候群など)

◇深吸気しても含気不良な人

 ・横隔神経麻痺(患側の横隔膜が挙上します)

 ・座位(腹腔内臓器が横隔膜を押し上げます)

 

胸部X線で肺の含気も評価してみると、時に思いがけない発見があるかもしれません。