きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

バリウム検査で慢性便秘になったらどうするべきか

バリウムを飲み込むと、患者の 57% で 1 週間以内に結腸から除去され、ほとんどの患者で 4 週間以内に完全に除去される。
バロリス(Baroliths)とは、硫酸バリウム造影剤の経口または直腸投与後に形成される濃縮したバリウムと糞便の混合物を指す。バロリスは無症候性であることが多いが、塊の量が増加すると、腹痛、吐き気、嘔吐、重度の便秘、腸閉塞、腸管壁壊死・穿孔によるバリウム腹膜炎、虫垂炎、巨大直腸、腹部コンパートメント症候群を引き起こすこともある。
バリウム検査とバロリスによる症状発現の間隔は、2 日から 2 年の範囲である。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6692969/】(←バリウム検査9か月後のバリウム便秘の症例提示あり)
バリウム服用から消化管穿孔発症までの期間は、医中誌38例+自験例5例で、9か月の1人を外れ値で除くと、平均3日(1-9日)。穿孔部位は横行結腸1例(3.6%)、下行結腸7例(25%)、S状結腸17例(60.7%)、直腸3例(10.7%)。
バリウム服用から消化管穿孔発症までの期間は、過去報告26例+自験例8例で、平均4日。S上結腸穿孔が24例(74%)、消化器疾患既往が1/3に認められた。
 
慢性症状や遅れて発症する例に、バロリス形成されているけど完全閉塞には至っていない症例が稀にありそうです。一度腹部X線でみてみてもよいかもしれません。