きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

てんかん発作時の治療

ほとんどの発作は2分以内に自然に収まり、ベンゾジアゼピン系や抗てんかん薬を迅速に投与する必要はない。ただ長期化したり再発した場合に備え、静脈ライン確保は検討される。
5分以上持続する全般性けいれん、または1回あたりは5分未満でも意識レベルがベースラインまで回復しない複数回の両側性けいれん発作があれば、てんかん重積の診断となる。
てんかん重積状態とは、発作がある程度の長さ以上に続くか、または短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないものと定義されてきた。国際てんかん連盟の1981年のこの定義では発作の持続時間は定められていなかったが、発作の持続時間が長くなると薬剤抵抗性になることが明らかになってきており、国際てんかん連盟の2015年の報告では、5分以上持続した場合はてんかん重積状態と診断し、治療を始めることが推奨されている。なお動物実験ではてんかん放電が30分以上持続すると、後遺症を残す可能性が示唆されている。
ベンゾジアゼピン系薬は痙攣性てんかん重責発作の第一選択薬。
日本ではジアゼパム静注(ホリゾン®, セルシン®)が選択されることが多いが、ロラゼパム静注(ロラピタ®)の方が発作停止効果は優れている模様。(ただすぐロラゼパム静注が出てくる病院がどれだけあるかは疑問・・・。)
ベンゾジアゼピン系薬の投与でてんかん重積発作が収まったとしても、ベンゾジアゼピン系薬は半減期が短いため、再発予防に非ベンゾジアゼピンてんかん薬がUptodate®で推奨されている。ここでの抗てんかん薬は、レベチラセタム(イーケプラ®)、フォスフェニトイン(ホストイン®)、バルプロ酸デパケン®)のどれかを選択する。すでにどれかを長期使用している場合、血中濃度が低いと分かっている場合は導入可だが、低くないもしくは血中濃度不明の場合は、使用していない薬を選択する方が無難。