きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

回復期リハビリテーション病院と薬価の関係

療養型病棟や回復期リハビリテーション病棟では、薬剤費は原則として入院基本料に含まれます。
そのため薬価が高額になれば転院に難色を示されることがあります。
回復期リハビリテーション病棟一床あたりの月額薬価は18198円(2021年3月)というデータもあり、1日当たりだと約600円になります。
どれくらいの薬価までなら問題ないかは医療機関によって異なると思いますが、700円以上を高額薬価と定義した医療機関もあるようです。
 
そこで、高頻度で使用されている内服薬の薬価を調べてみました。
 
◆スタチン製剤
・アトルバスタチン10mg1錠:24.2円
・リピトール10mg1錠:72.8円
・ピタバスタチン2mg1錠:25.8円
・リバロ2mg1錠:80.2円
・クレストール5mg1錠:89.0円
◆降圧薬/利尿薬
アムロジピン5mg1錠:12.8円
アムロジン5mg1錠:34.3円
・ノルバスク5mg1錠:35.3円
・エナラプリル5mg1錠:10.1円
・レニベース5mg1錠:24.8円
・タナトリル5mg1錠:45.4円
・カンデサルタン8mg1錠:17円
・アジルバ20mg1錠:140.2円
・テルミサルタン20mg1錠:10.1円
・テラムロAP1錠(アムロジピン5mg+テルミサルタン40mg):15.5円
・テラムロBP1錠(アムロジピン5mg+テルミサルタン80mg):23.2円
・ミカムロAP1錠(アムロジピン5mg+テルミサルタン40mg):34.2円
・ミカムロBP1錠(アムロジピン5mg+テルミサルタン80mg):51.5円
・ザクラスLD1錠(アムロジピン2.5mg+アジサルタン20mg):110.9円
・ザクラスHD1錠(アムロジピン5mg+アジルバ20mg):110.9円
・トリクロルメチアジド1mg2錠:6x2=12円
・フルイトラン1mg2錠:10x2=20円
・フロセミド20mg1錠:6.1円
ラシックス20mg1錠:9.8円
◆β阻害薬
・カルベジロール2.5mg2錠:10.1x2=20.2円
・ビソプロロールフマル酸2.5mg1錠:10.1円
◆抗凝固薬
・ワーファリン1mg1錠:9.8円
・プラザキサ75mg4錠:136.9x4=547.6円
・イグザレルト10mg1錠:364.1円
・エリキュース5mg2錠:236.6x2=473.2円
・リクシアナ30mg1錠:411.3円
◆胃薬
レバミピド100mg1錠:10.1円
・ランソプラゾール15mg1錠:19.3円
タケプロンOD15mg1錠:52.3円
◆鎮痛薬
アセトアミノフェン500mg1錠:8.2円
・ロキソプロフェン60mg1錠:9.8円
・トアラセット4錠:16.3円x4=65.2円
・トラマールOD錠50mg2錠:57.3円x2=114.6円
 
【薬価は基本的に添付文書を基に検索】
 
薬価の印象をまとめてみると、下記になります。
・先発医薬品より後発医薬品の方がかなり割安。
・DOACは群を抜いて高額。
・降圧薬は後発医薬品では、サイアザイド利尿薬もカルシム阻害薬もアンギオテンシン変換酵素阻害薬も、薬価にそれほど大きな差がない。
・降圧薬は合剤でも後発医薬品が出ており、むしろ含有されている2種類の薬剤の薬価合計より安くなる場合がある。
・鎮痛薬はアセトアミノフェンNSAIDレベルでは安価。
 
以上をもとに、薬価を安くするとしたら
①不要な薬は切る
②先発医薬品を後発医薬品にスイッチ
③高血圧症で合剤の適応があれば合剤にして薬価を抑える
の3点が考慮されるべきかもしれません。まぁこれは外来でも同じだと思います。
なおDOACは割高ですが、ワーファリンは定期的な採血フォローが必要となり、病状によってはワーファリンより良い介入結果を示す文献もあるため、そこの変更は必須とは言えないかもしれません。
 
ちなみにハーボニーというC型肝炎治療薬は、1日1回1錠を12週間内服する必要がある薬ですが、元々1錠8万円という薬価で、今は1錠55491.7円となっています。
回復期リハビリテーション病棟入院料は”入院料1”でも1日21290円なので、完全に赤字になりますね。
 
上記のように高額薬剤使用している方が回復期リハビリテーション病棟への入院を検討している場合、薬剤を中止もしくは他薬剤に変更できないか検討する必要がでてきます。