肝疾患でIgAが高値になる機序
アルコール性肝炎の患者のIgAが高値でした。
その機序について調べてみたので共有します。
血清中のIgAは単量体がメインだが、唾液、胃液、腸液、涙、初乳、粘液、汗などの分泌物中では二量体として存在する。
腸では、腸管関連リンパ組織(小腸におけるPeyer板、孤立リンパ小節、大腸のColonic patch、腸間膜リンパ節など)にリンパ濾胞が存在し、そこでIgAなどの産生が行われている。
肝疾患がある場合、腸管経由の外来抗原に対しポリクローナルな抗体増加がみられる。
肝疾患の中でも特にアルコール性肝疾患ではよりIgAが高値になりやすいことが知られている。
肝逸脱酵素異常がある患者の中でも特にアルコール性肝疾患がある患者では、IgAが感度50%、特異度78%で高値になりやすい。
更にアルコール性肝障害では重症度に伴いIgAが上昇する傾向がみられた。
やはり、腸管透過性亢進によるエンドトキシン血症がIgA産生増多の機序として考えられている。
なお肝疾患時の血清中IgAは単量体の割合が減少し、二量体の割合が増加することが知られている。
実際に抗菌作用を持つ二量体IgAが高値になるということは、やはり実際にエンドトキシン血症に対抗するための増加であることを示唆するものかもしれない。