きのこの備忘録

筆者が調べた事やまとめた事を共有しています。医療職を対象とした記事がメインです。論文のような正確性よりは分かりやすさを優先して書いています。一般臨床への応用は自己責任でお願いします。

白血病反応と慢性骨髄性白血病と慢性好中球性白血病の鑑別

アルコール性肝炎での好中球著高患者について調べているうちに、アルコール性肝炎のような白血病反応(Leukemoid Reaction:LR)と慢性骨髄性白血病CML)と慢性好中球性白血病(CNL)の鑑別について興味が出てきたので調べてみました。
 
CNLは主にCSF3R遺伝子変異による成熟好中球のモノクローナル増殖、LRは左方移動を有する成熟好中球の反応性ポリクローナル増殖、CMLBCR/ABL遺伝子変異(Ph染色体)による分化は障害されていない骨髄系細胞のモノクローナル増殖を来す疾患です。
CML(おそらくCNLも同様)の血中好中球数と血中G-CSF濃度は反比例することが知られており、恐らくモノクローナル増殖に対しネガティブフィードバックがかかるからと推測します。
その点、LRは必要になって好中球が動員されているため、血中G-CSFが高値になります。
普段はG-CSFによる作用で好中球は成熟するのですが、CMLやCNLはそれがなくとも好中球が成熟できる状態になっています。
ただ好中球の発現するアルカリフォスファターゼ(NAP)は、G-CSFで活性が上昇することが知られているので、LRはNAPが高値になりCMLではNAPは低値になります。
CNLもCML同様NAPは低値になるべきですが、何故かNAPは高値になります。またCMLは急性転化時にNAPスコアが高値になりますが、その機序も良く分かっていません。
CNLやCML急性転化ではG-CSFによらずNAPを高値にする何らかのメカニズムが作動するものと推測します。
 
※好中球アルカリフォスファターゼ(NAP)は白血球アルカリフォスファターゼ(LAP)と呼ばれることもあります。